今のお前の姿は全てが偽者、まやかしなんだ。
そんな声が、聞こえた。
今の「SMAP」も「中居正広」という姿も、何もかも。
全てがお前の中の創造であり、理想。
現実には、存在しないもの。
今までの「SMAP」としての想い出も、「中居正広」としての記憶も全て。
そんな声を聞いた俺の心は、信じられないくらい冷静だった。
いや、無心と言ったほうが近いかもしれない。
あぁ、そうなんだ。
別にそれでもいいや。なんてことは無い。
「SMAP」がたとえ無くたって、俺は生きていけるから。
あんなもの、俺がこの世界で生きて行くための踏み台に過ぎたかったんだから。
そんな時、遥か彼方から一筋の光が差し込んできた。
まぶしいくらい、真っ白で明るい光。
まるで凍っていた俺の心を、溶かすような。
「…い」
光の中から、声が聞こえる。
「……い君」
…俺の事を、呼んでいるのか?
何度も何度も、その声は俺の頭の中で木霊する。
俺は無意識にその光のほうへ歩いていった。
その光の、暖かな温度に誘われて。
「中居!!」
「なかっ…中居!?」
「……?」
気がつくと、俺の周りにぴったりと寄り付く4人の姿。
顔は皆蒼白で、こんな顔は死んでもファンには見せられないなと
朦朧とする意識の中でそう思った。
「中居君どうしたの?怖い夢でも見た?」
「うなされてたよ…?」
「……そっか、俺寝てたんだ?」
初めてさっきの事が夢だと分かり、ゆっくりと体を起こした。
「中居…どうした?」
「え…別に何も…」
わざわざ話す事でもないと判断して、俺はそう応える。
でも木村の顔は俺の言葉を聞くなりますます険しくなった。
「なんでもないわけないだろっ!?」
木村にいきなり顔を触られ、一瞬何が起こったのか分からなくなる。
でも俺は、その木村の行動で初めて気がついた。
俺の頬を伝う、一筋の涙に。
そうか…夢…。
夢の世界でも強がっていた自分。
SMAPがなくても、生きていけると。
こんなにも、涙が出るのに。
そして俺は、現実の世界でもこいつらに弱みを見せまいとしていた。
それで、またこいつらにこんな顔させて。
…あんなこと、たとえ夢であっても言って許させる事ではない。
“SMAPは、俺がこの世界で生きていくための踏み台に過ぎない”なんて。
そんな事、これっぽっちも思ってなんかいないのに。
こんな事を思ってしまうのは、俺がもう限界だからなんだろうか。
それならば…
今日は…今日だけは…強がってみるのをやめてみようか。
明日になったら、また強い「中居正広」に戻るから。
「俺…SMAPで本当に良かった…」
fraud
あとがき
うん………(え)
「何が言いたいの?」と聞かれたら
私も多少返答に困るんですが(笑)
自分の全てを否定される恐怖。
中居君の場合、SMAPまで否定される事は何より辛いでしょう。
でも彼は、そんな時でももしTVの前だったら明るく、強く
振舞ってしまうんではないでしょうか…。
一人でその痛みから逃れようとするのもすごい勇気が
必要なんですが、素直になることにも
きっとすごい勇気が必要だと思うんですよ。
……なんだか自分の言ってることが分かんなくなってきた…。
とりあえず、あまり深く考えず…
はぁ?と思ったら軽ーく受け流しちゃってください☆(笑)
(07.08.06)